2009年 01月 10日
引き継がれるもの
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50年以上、同じ人の手に収まっていた指輪。
使い込まれた指輪は傷つき、変形し…
味のある色味の、渋い指輪になっている。
知り合いの亡くなったお父様の指輪で、
「形見だけど、今の状態では普段使い出来ないから」
とリフォームのために手元に届いた指輪。
預かっていろいろ考えることになり、じっくり指輪を見ていたときに気付いた。
この指輪の刻印……
「24K」ではなく、渋く漢字で「純金」
それも右から左に読む、今までに見たこともないタイプ。
この指輪の歴史を思って、胸がいっぱいになって、鼻がツンとなった。
私がこの指輪の歴史を知っているわけでもないのに、どうしてだろう?
何か語りかけられたような気がした。
最初のリクエストは「全部溶かして、妻に何かと、自分の指輪を」とのことだったけど、話し合って、この刻印を残してリフォームすることに。
刻印部分が残ることになったこの指輪。
形を変えて、今度は息子さんの下、いろんな歴史を刻むだろう。
そして、いつの日か次の世代に渡るかもしれない。
その歴史のほんの一部に、かかわれることがちょっとうれしかった。
by naotachi
| 2009-01-10 08:13
| 制作日記